セッションレポート:「AWSコスト管理の最前線」

セッションレポート:「AWSコスト管理の最前線」
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はじめに

こんにちは、CloudBuildersのsugawaraです。

先日、AWS Summit Japan 2024が開催されました。今年も自分は現地参加できなかったのですが、自宅からオンライン参加して、新情報にキャッチアップしました。

今回はこれまで自分があまり意識していなかったコスト最適化について、「AWSコスト管理の最前線」というセッションを簡単にレポートしたいと思います。

概要

本セッションのスピーカーは、AWS Japanのシニアテクニカルアカウントマネージャー石王 愛さんです。Summitの公式ページより概要を引用します。

“すべてのクラウド財務管理(CFM)サービスを1か所にまとめた新しいコンソール、AWS Billing and Cost Management Console を使って、コスト、アラート、推奨アクションを素早く把握する方法をご紹介します。そして、最新のコストサービスにおける最新Updateを一気にご案内します。AWS Cost Explorer による複数年のトレンド分析や、新しいデータエクスポート機能、それを使ったコストと使用状況レポート(CUR 2.0) とコスト使用状況ダッシュボード (CUD)は、皆様が行なっている AWS のコストレポーティングを大きく前進させると確信しています。正確かつタイムリーなレポートを使って、AWS コストを最適化しましょう!

セッション内容

クラウド財務管理(CFM)

クラウド財務管理(Cloud Financial Management, CFM)とは、Well-Architected Frameworkの6つの柱の1つ、「コスト最適化」の設計原則の1つです。企業がクラウド環境のコスト管理や財務の最適化を行うためのアプローチとなります。本セッションでは「可視化」、「最適化」、「計画と予測」の3つについて、ユースケースとともに利用すべきAWSサービスが紹介されておりました。それぞれについて見ていきます。

可視化

現在や過去の利用料を手っ取り早く把握するには、AWS Cost Explorerが紹介されていました。日時やタグ、リソースごとにグルーピングやフィルターをかけることによって、「何に」「どのくらいのコストがかかっているのか」が明確になります。

ただし、ここで問題になるのがタグ付けされていないリソースです。タグ付けされていないと、正しくリソースの集計ができません。そんな困ったときに利用できるサービスも、下記のようにいくつか紹介されていました。リソースの棚卸しの際には、これらのサービスを用いてタグ付けを確認していきたいですね。

また、自分がおもしろいと感じたのはAmazon Q Developerに直接尋ねる手法です(プレビュー版)。本当にサクッと確認したいだけの場合、自然言語によるクエリでCost Explorerの集計ページの表示する方法が紹介されていました。

しっかりとコストの確認をしたい場合には、AWS Cost and Usage Report (CUR)を利用します。下記はEC2の出力例となります。CURは最も細かく利用料金を参照することができます。なお、CURのコスト分析にはAmazon AthenaのSQLも利用できます。

また、Amazon QuickSight上にAWS Cost and Usage Dashboard (CUD)を作成して可視化することも可能です。

QuickSightで作成されるダッシュボードはIAMユーザでなくても閲覧が可能です。大規模な企業でIAM権限を渡さない役職者向けに良さそうですね。
※Amazon QuickSightはエンタープライズエディションのサブスクライブ料金が必要です。

なお、CUDについては公式アナウンス直後に自分が記事を書いていました。設定方法などについて興味のある方は下記を参照ください。

最適化

コストの可視化をしたら、今度は最適化です。無駄なリソースはどんどん削っていきたいですよね。しかし、何をすればいいかわからないという場合の指標が下記になります(EC2の例)。

これらはコスト最適化の定番アプローチかなと思われますので、別の切り口であるAWS Cost Optimization Hubのリコメンデーションについて紹介します。

EC2を例にすると、インスタンスタイプの変更や停止などの推奨アクションを行うことによって、どのくらいのコスト削減ができるか、作業レベルはどのくらいかなどを一覧でみることができます。次のコスト最適化アクションが思い浮かばないときには、こちらで何がリコメンドされているかを確認してみるといいでしょう。

計画と予測

最後に、「計画と予測」です。AWS Budgetによる予算と予算アラートの設定は多くのアカウントで実行されていると思います。

これに加えて、AWS Cost Anomaly Detectionによる異常検知アラートも設定しておくと安心ですね。Cost Anomaly Detectionは昨年re:Invent 2023の前に発表されたサービスで、まだまだ活用されていないかもしれません。

おわりに

本セッションでは、コスト最適化のためにまず何をやるべきかが明確に説明されていました。近年の円安の影響もあり、AWSコストの見直しを検討しているという担当者の方は多いと思います。これらの情報を参考にして、どんどんコスト最適化していきましょう!

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著者:sugawara
元高校英語教員。2023&2024 Japan AWS All Certifications Engineers。IaCやCI/CD、Platform Engineeringに興味あり。